自分の娘を喜ばせるために作ってみたラクガキを基にしたぬいぐるみ。
まさか、それが仕事になるとは…
まさか、将来「グッドデザイン賞」を受賞するなんて…
もう去年のことになりますが、エソラワークスのその言葉どおり【絵空事】が実現。夢のような経験を忘れないように、ちょうど年鑑が届いたこのタイミングで記録として残しておきたいと思います。
「グッドデザイン賞」というのは、公益財団法人日本デザイン振興会の主催で、毎年デザインが優れた物事に贈られる賞であり、日本で唯一の総合的デザイン評価・推奨の仕組み。そのシンボルであるGマークは至るところで見かけることができ、高い認知率があり広く親しまれている…だそうです。
そんな「グッドデザイン賞」ですが、特に大きな企業じゃないと応募できないという条件はありません。
でも、工房は自宅の2階、スタッフは数名なのに自信を持って応募するほど私たちも身の程知らずではありません(^-^;
お、今年も応募受付が始まったなぁ…くらいに思っていました。
ふと、ずっと前から自分たちのサービスで危惧していたことが頭をよぎりました。最近、猛威を振るっているネット詐欺です。
私たちのサービスはとても小さな規模でやってますし、オーダーメイドという性質上、料金は前払いというシステムをとっています。
実は私も偽サイトに騙された経験があるんですが、どこの誰かもしれないお店に前払いって…かなり怪しいと思いませんか?
ウチもそんな風に見えてるのかも!?って考えてしまいました。
そんな私たちになにが必要か…
伝統はすぐに作れませんが、じゃあ信用力は?
ここまで5年間特に問題なくやってきましたが、一目で信用を得るようなものもない。
でも、誰もが納得の素晴らしいところが認めてくれたならば…そうだっ!
グ・ッ・ド・デ・ザ・イ・ン・シ・ョ・オ・!!!
ということです。
人に言うと笑われるのでコソコソと応募準備を始めました。
審査の流れというと、
書類での1次審査があり、これに通ると2次となる展示審査となります。
応募にはカテゴリーがあるので、まずはそこを決めなければいけません。
ウチのサービスは、モノの形が決まっているわけではないので「プロダクト(製品)」か「サービス」なのかで迷いましたが「プロダクト」を選びました。結果論ですが、この選択は良かったように感じます。
5月中旬に応募完了、そして6月27日に1次審査通過のお知らせが!
書類審査は大丈夫だろうと思っていても、やっぱり嬉しかったですね(^-^)
でも、ここからが本番。次は幕張メッセでの展示審査です。
本来なら、展示も自らが会場へ出向いて設営をするのがいいんでしょうが…なにせ関西在住の零細企業なので費用、時間的に厳しい。
そこで、ありがたかったのが審査会搬入出代行サービス。有料ではありますが、ヤマト運輸の関連会社がキレイに運搬・設営までしてくれるんです。
審査委員へ直接対応できる対話型審査というも選べたので本当は自分の口で説明してアピールしたかったんですがそれは泣く泣く断念し、後は展示されたクリッチャたちの魅力に全てを託すことにしました。
この2次審査は7月31日から3日間あり、そして結果発表は9月5日。
その約1ヶ月は眠れぬ日々…と言いたいところですが、通過するなんて正直思ってなかったんでグッスリ寝てました。でも発表が近づくとソワソワ。大人になると合格発表みたいなドキドキなイベントってほとんどないですもんね。
というのも、この2次審査に通過=グッドデザイン賞受賞決定なんです。
意外に「え?もう決まっちゃうの」って感じなんですが、そーなんです。でも、グッドデザイン賞には続きがあって、受賞者の中で上位の特別賞がまだこの後に決まっていくのです。
コレ、あまり知られてないですよね。私も審査の過程で知りました。
そして運命の9月5日を迎えました…
まさかの受賞っ!!!それどころか「グッドデザイン・ベスト100」にも選出というおまけまで( ^ ^ )/
応募件数4,789件、その内の受賞は1,353件。その中でも特に優秀と認められた100件に入ったことになります。
そして、それは大賞や金賞などの候補者となったということです。この後、東京での特別賞審査会で公開プレゼンテーションを行わなくてはならないのです!私は人前で話すのが苦手なのに!?
でも、このときばかりは嬉しさの方が勝って、美酒に酔いしれてしまいました。
その後、送られてきた「AWARD WINNER’S KIT」で実感が!
受賞したことは正式発表日の10月3日まで公表してはいけないので、言いふらしたいのに言えないという悶々とした日々。
その間に、プレゼンテーションの資料づくりです。プレゼン4分+審査委員との質疑応答2分…これ意外と短くて伝えたいことすべては無理。
10月10日の東京ミッドタウンでの特別賞審査会。
かなり端折って、早口プレゼンとなりましたが…緊張しすぎてほとんど記憶がございません(笑)
後にYoutubeで公開されているのを観たのですが、1.5倍速かっていうくらいの早口で自分でも聞き取りにくいという…
https://www.youtube.com/watch?v=kwfA7bsec7E
(おまけ)久しぶりの東京、ずっと行きたかった「デザインあ展」へプレゼン後に直行したのはご愛敬。
そんなこんなで10月31日に受賞祝賀会・大賞選出会・特別賞発表、そして受賞展と盛りだくさんのイベントがグランド ハイアット東京、東京ミッドタウンで開催されました。
それまでにメールで特別賞審査会の結果は知らされていたんですが、公式発表はその場で行われます。
受賞祝賀会はすごい人混み、ドレスコードもありましたがラフな方も多かったですね。受賞者は公式の写真撮影があったり、ドリンクバーでウロウロしてたら会場に入り損ねちゃいました。
でも「ベスト100」受賞者の登壇が近づいてきたので、人の波をかき分けてステージの全面に…呼ばれる順番は3番目です。キンチョー!
基本100人呼ばれますのでステージに上がってから結構な時間待つことになりましたが、なかなか見られない光景に感激しました(^з^)
そして…ここからは特別賞の発表です!
いきなり呼ばれたのが「エソラワークス」!そう、私たちです。
私たちは【グッドフォーカス賞 [新ビジネスデザイン]】を受賞いたしました。
すべてのグッドデザイン賞受賞対象の中で、新たなビジネスモデルや新産業の創出、イノベーションの促進に寄与する優れたデザインとして特に認めるもの…だそうです。
グッドデザイン賞の上位に評価される特別賞は「グッドデザイン大賞」「グッドデザイン金賞」「グッドフォーカス賞」の順で構成されます。
金賞にはSONYロボット犬「aibo」や話題の「1人称童話絵本」など錚々たる作品が選ばれ、ファイナリストの最終プレゼンがあって投票の結果、2018年度の大賞は「貧困問題解決に向けてのお寺の活動・おてらおやつクラブ」となりました。
子供のためにという同じ方向を向いたプロジェクトが最高の栄誉に輝いたことが嬉しかったです。
受賞した作品すべてが展示されている「GOOD DESIGN EXHIBITION 2018」も、時間が空いたときに見て回りましたが、どれもが特別賞に選ばれてもおかしくない素晴らしいデザインばかりでした。本当に私たちは運が良かったと実感しました。
最後に記者発表会にも登壇させていただき、夢のような1日が終わりました。
受賞祝賀会から1ヶ月、高揚した気持ちも落ち着いてきた頃の12月3日。
最後のイベントである特別賞贈賞式が国際文化会館が行われました。特別賞は内閣などの偉い方から表彰してもらえて、再び表彰状とトロフィーがいただけます。その後は食事会もあってお祝いの会といった趣きです。
私は経済産業省商務・サービス審議官から表彰状をいただきました。
ここではロングライフデザイン賞の表彰式もあり「ガンダム」や「東京タワー」などの伝説級の作品が選ばれていました。
食事会はお酒も入って皆さん和気あいあいとした雰囲気で美味しいお料理を楽しめました。
この日は、このサービスを始めたときから裏で支えてくれた妻が同席してくれてましたので、帰りの新幹線でこれまでの頑張りを称えて缶ビールで乾杯しました。
そのときにふと思ったのが…中学生の頃、なんの取り柄もなかった自分ですが少しだけ得意なのが美術でした。進学のときに美術系高校を選ばなかったことを知って残念がってくれた美術の先生に、このことを教えたかったなぁ…と。
これにて私たちの半年に渡る冒険は終わりを迎えます。
工房には2枚の表彰状と2個のトロフィー。トロフィーがクリスタルの中に赤玉(?)、控えめに刻印もあってカッコいいんです!
※トロフィーに乗ってる黒いのは、素人の私が初めて作ったぬいぐるみです…出来は悪いんですが全てはここから始まったと大切にしています。
余談としては…
事務局からタイをはじめとする海外での展示会への出展協力を求められたりもして、実際に海外からの問い合わせも数件入り、海外への影響力も感じることができました。
そして、東京以外では初となる「GOOD DESIGN AWARD 神戸展」がこの年に開催されることもなにか不思議な縁で嬉しいですね。地元ですので展示などにも自ら出陣できて楽しめました。
プレスリリースを初めて書いたのも、良い経験になりました。当初の目的である信用力の獲得は、まずはこの素晴らしい賞をいただいたことの告知・アピールですからね。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000037855.html
先日、すごく重厚な年鑑が送られてきました。
1ページ以上も割いてくれてて、プロのカメラマンが撮ってくれたクリッチャが並んでいます。
改めてこのグッドデザイン賞を振り返ってみると…
デザインというと綺麗な、使いやすい造形やオシャレなスタイルなどを想像していました。でも、実際にはカタチのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものがデザインということを教えていただきました。
この賞の評価にしても、デザイナーの想いという部分が多くを占めるような気がしました。
なぜこのサービスを始めたのか…初志である『自分の想像力が一番の宝物と信じてほしい』という子供たちへの想いを今再び強く感じさせてもらえました。
長々と書きましたが、将来悩んだときやブレそうなときにこのブログを読み直して、受賞したという価値ではなく、多くの方がこのサービスに魅力を感じてくれたことをまた思い出したいです。
そして、応援してくれるお客さまや関係者の方々、スタッフや家族に心の底から感謝して、子供たちのためにこれからも良いもの、グッドデザインを考えて作り続けられれば最高だなと思っています。